『明日、卒業式が終わったら教室で会わない?勿論、二人きりで。』



梓は蓮の急な提案に目を丸くして驚く。



「…えっ?」

『お前と一緒に過ごした高校三年間を、お前と一緒に締めくくりたい。卒業式が終わったら教室で待ち合わせをしよう。』


「………うん。じゃあ、私も卒業式が終わったら教室に向かうね。」


『約束な。絶対行くから。』



今年に入ってから今日が一番穏やかだった彼の声。
仲直りだけでも嬉しかったのに、願っても無いチャンスが到来した。





ーーこうして私達は、高校生活最後の日を一緒に過ごす約束して電話を切った。



奏のアドバイスのお陰で、勇気を出して蓮に電話する事が出来た。

紬が蓮に花音の事を話してくれたお陰で、無事に誤解が解けた。

それと、何故か口止めしていたはずの大和が、私が男達に襲われた事を蓮に伝えてしまったけど、そのお陰で仲直りする機会を得た。



友達の協力が無ければ、私は新たな一歩を踏み出せなかっただろう。

恋路を見守ってくれたみんなが背中を押してくれたから、私は卒業式前日に蓮と仲直り出来た。



明日はもう卒業式。
三年間同じクラスだった蓮と教室で会うのは明日で最後。
お互い進学先が別だから、毎日顔を合わせるのも最後になる。