蓮は気力が抜けて頭をドンッと机の上に落とし、顔を右に向けて合格祈願を眺めていると…。
先ほど電話で話していた大和の言葉を思い出した。
『くだらないケンカなんか止めて、いい加減守ってやれよ。お前はまだ梓が好きなんだろ?変なプライドとか捨てちまえよ。』
『梓の嫌がらせと比べたら、お前の悩みなんてちっぽけな問題なんだよ!お前の想像以上にあいつは傷付いてるからな。少しは考えてやれよ!』
そう……。
俺は欲張りだ。
拘りを貫き通す為に、彼女の気持ちを犠牲にしてしまっていたのだから。
正直な話、梓に出会うまで恋愛面で苦労をした事がない。
時の流れに身を任せてしまっていた未熟な部分もあったから。
ーーでも、俺は運がいい。
卒業式の前日に、友達から大切な事を気付かせてもらえたのだから。
まだ終わった訳じゃない。
まだ間に合うんだ……。