ーー卒業式前日の昼過ぎ。

蓮は学校から帰宅して私服に着替えていると、ベッドに投げ捨てていたスマホのバイブが鳴った。

すかさずスマホを手に取って画面を見ると、表示されている発信者は大和。
早速通話ボタンを押して耳に当てる。



「おぅ、大和。…何?」

『お前、いつまでグズグズしてるつもりだよ。明日は卒業式だぞ。』


「……は、いきなり何?話の趣旨を先に言って。」

『いつまで梓を放ったらかしなの?』



皮肉っぽく語る大和の話は、奇しくも先程まで話していた紬ちゃんと同様、梓の話題に。



「いまちゃんと考えてるよ。」

『真実を知りもしねーくせに、よくそんなこと言えるな…。本人には口止めされてるけど、明日から梓に会えなくなるかもしれないから、今から話す事を耳をかっぽじってよく聞けよ。』


「ははっ、相変わらずお前は大袈裟だな…。」



大和は心配性だから、いつも通りオーバーに話しているだけだと思った。


しかし、話に耳を傾けてみると…。
スマホの小さなスピーカーの向こうから伝えてきたのは、耳を疑うような真実。

大和の口から次々と明かされていく梓の過去に強いショックを受けた。