校内で絶大な人気を誇るイケメントリオの一員 蓮に彼女が出来たという噂はあっと言う間に広まった。



しかも、相手は私。
美人でもなく、かわいくもなく…。
頭がいいわけでもないし、才能に溢れてるわけでもない。
ごくごく普通なJK。

変わってると言われれば、確かに右に出る者はいないと思うけど…。




もちろん女子に妬まれた。

蓮のファンと思われる女子から受ける冷たい視線だけならまだしも…。
靴を隠されたり、体操着をハサミで切り刻まれたり、教科書が破られたり、私の机だけが教室の外に追い出されていたり。

蓮と交際を始めてから嫌がらせのターゲットに…。





だけど…。
苦しみから救ってくれたのも蓮。


私が嫌がらせを受ける度に、間に立って一つ一つ問題を解決してくれる。
勇敢に守ってくれる背中が逞しかったから、もしかしたらイジメを見越していたのかもしれない。



蓮は辛い試練と戦い続けて暗い顔をしている私を、優しく抱きしめてくれた。
温もりが伝わる度に涙が溢れて止まらなかった。



蓮は私の全てだった。

初めて唇を奪われた瞬間から、彼は王様。
私の心を支配する王様。
ドン底まで惚れ込んでしまったせいか、絶対的存在の蓮に私の中のNoは存在しない。


左親指の腹が私の右頰に触れると、それがキスの合図。
蓮はキスをする時、毎回そうだった。



本気で好きだった。
ずっと心を支配し続けていて欲しかった。

だから、蓮の浮気がどうしても許せなかった。





浮気を繰り返していた頃を思い出すと、やっぱり許せないけど…。
最近、蓮が身近にいる生活を送っているうちに、隔たりがあった気持ちはすっかり落ち着きを取り戻していた。