蓮が罪悪感に戒められて頭を抱えていると、左隣に座っている紬は蓮の肩をポンっと叩いた。



「明日まで梓と仲直りができるといいね。二人が仲直りしてくれないと、私も悲しいし。」

「紬ちゃんには随分迷惑かけたな。」


「ううん、二人とも私の大事な友達だから。復縁してくれる事を心から願ってる。」



まぶたを軽く伏せて寂しそうに微笑む紬は、立ち上がってからスカートの汚れをパサパサと払い、学生鞄を肩にかけた。



「じゃあ、そろそろ帰るね。蓮くん、また明日。」

「あぁ…、ありがと。」



手を振りながら中庭を離れていく彼女の姿が見えなくなっても、俺の頭の中では彼女の言葉がこだましていた。



俺は知ったかぶりで高梨に偉そうな口を叩いてたんだな…。
実際は、あいつが何倍も苦しんでいたのに。



感情の波に飲み込まれながらも、一人で冷静になって梓の気持ちを考えていたら、しばらくその場を離れる事が出来なかった。