「先日は私を襲ってきた男達から救ってくれてありがとう。それと、約束通り蓮にも黙ってくれてありがとね。」

「改めてお礼を言われると…、参るな。」


「あの時、大和が助けてくれなかったら私はどうなっていたか…。」

「本当に大事に至らなくて良かったな。」


「大和のお陰だよ。……んでね、明日大和に大事な事を伝えたいから、手紙に書いてある時間に指摘した場所に来てね。」

「これ…、ただのラブレターじゃないの?」


「だ~か~ら~!ラブレターじゃないっつーの!それは、秘密の地図だよ。」



梓は話を終えるとベンチから腰を上げた。
目的が無事に達成してその場を離れようと三歩足を進め、最後にフワリとスカートを揺らしながら笑顔で振り返る。



「大和、卒業おめでとう。今まで本当にありがとね。感謝してる。」



大和は梓の想いを受け止めると、微笑み返した。



「こちらこそサンキューな。卒業してからも、またみんなで遊びに行こうぜ。今度こそバックれんなよ。」



大和はヤンチャにはにかんで、ピストルを打つように人差し指を向けた。





ーーこうして、また一人お別れの言葉を告げた。


残すは紬。
紬には伝えたい事が沢山あるから、時間をかけて話したい。

そして、蓮とは納得がいくまで話し合わなければならない。


泣いても笑っても、この学校を卒業するのは明日なのだから。