すると、蓮は突然腹を抱えて笑い出した。



「あっはっはっ!菊池ってさ、ストレートだな。そんな告白してきた奴、今まで見た事ねーよ。」

「…ごめん。」



勢い余ったところもあるけど…。
一生懸命告白したのに笑われてる。
好きな気持ちには変わりないのに、なんだか悲しくなる。

仕方ないか……。
突然変な事を言ったのは私だもんね。



すると、背中から夕日を浴びている蓮は、イヤホンコードを手で纏めながら穏やかな眼差しを向けた。



「いや、逆に気に入ったよ。」

「…えっ?」


「こうやって思った事をストレートに言う奴が珍しくてさ。」

「…ごめん。」


「謝るなって、悪くねーから。」

「うん。」


「…いいよ、付き合おう。いま彼女いないし、特に好きな奴もいないから。菊池の笑っている顔…、結構かわいいし。」



夢……、かと思った。

頬をつねったら現実に引き戻されてしまうかと思ったら怖くなった。



…でも、夢じゃない。

そう思ったら、両目から溢れ出る涙が止まらなくなった。





放課後、持ち帰り忘れたお弁当箱を取りに教室に戻っただけ。
口が勝手に告白しちゃっただけ。

それなのに…。
教室を出る頃には、学校一のアイドル的存在の蓮が、何の取り柄もない私の彼氏になっていた。