卒業式の予行練習を終えて、クラス一同教室へ戻った。

担任は、明日のスケジュールを皆に伝えてから終礼をした。
身支度を終えてから蓮の方を向いて話しかけようとしたが…。
蓮は既に扉の向こうへ。



……でも、まだ時間はあるはず。
同じクラスだから、きっと明日までチャンスがあるだろう。

奏に言われた通り、今晩電話してみようかな。



私達は約一週間ぶりに会ったのにも関わらず、今日は挨拶すら交わせなかった。
落胆の色は隠せずに深いため息をつく。



梓は鞄を持って紬の所に行って声をかけた。



「紬。私、ちょっと用があるから、悪いんだけど先に帰っててくれる?」

「わかった。私も大事な用があるから一緒に帰れないって伝えようと思ってたの。」


「そっか。明日で学校ももう最後だね…。」

「そうだね。…また明日ね。」



紬に別れの挨拶を終えると、昨日書いた手紙を渡しに行く為に、少し急ぎ足で別棟にある大和の教室へ向かった。