間もなく集合時間になり、再び卒業式の予行練習に参列。


チャイムが鳴るまではガヤついていた体育館内は、教頭先生がマイクを握ると共に自然と緊張感が高まって、生徒達は再び静まり返った。



菊池 梓
柊 蓮



私と蓮は名前順が遠いので、座席から蓮の姿は確認出来ない。

今朝、教室内で一度見たきり。
私達は同じクラスなのに、体育館内では一度も姿を見ていない。




しかし、今日大事な話があるのは蓮だけじゃない。
ブレザーの右ポケット内には、昨晩用意した手紙が忍ばせてある。


その手紙は蓮宛に用意したものではなくて…。
バレンタインの翌日に男子三人組に襲われそうになった私を、たった一人で助けに来てくれた大和宛に用意した。



明日は卒業式。
多くの保護者が来場し、卒業式を終えた校舎には、卒業生と在校生がごった返してしまうだろう。

特にイケメントリオは人気があるので、あっと言う間に女子達に取り囲まれてしまうだろう。
過去を振り返ってみると、大体の予想がつく。


別校舎の大和に会えなくなってしまう前にと思い、今日中に手紙を渡そうと決めていた。