束の間の休憩時間になり、体育館の出入口付近でバッタリ奏と遭遇。
奏が先に気付いて声をかけてきた。



「よっ!明日で卒業だね。」

「あ…、奏!この前はありがとう。いま少し話せる?」


「いいよ。」



いつもと変わらない調子の奏とも明日でお別れ。
明日は卒業式だから、ゆっくり話せるのは今日が最後かもしれない。



イケメントリオの一員である、美形で王子様系の奏。


普段からチャラくて、4股かけて、女にだらしがなくて、いつも彼の前では女同士の論争が絶えず、止めもせずにいつもオロオロしてるだけで、本当にどうしようもない性格なんだけど…。

いつも、何かと気をかけてくれた。



私を心配してくれたり、蓮の情報を教えてくれたり、かばってくれたり。
時には厳しく一喝してくれたお陰で、自分の過ちに気付かされた事もあった。

だから、今まで散々お世話になった奏に、最後のお礼を言いたかった。



梓は奏を昇降口の先の渡り廊下に連れ出して、校庭を眺めながら奏と肩を並べて話し始めた。