蓮に本当の事を言えるわけないじゃん。
蓮も受験期間中だから、迷惑かけたくないと思っているのに。
花音に逆らえる人なんて、このクラスには誰一人いないんだよ。
逆らった時点で、悪口や嫌がらせのターゲットになっちゃうんだよ。
それに、私のライバルの数を知ってるの?
学年数どころじゃないんだよ。
他の人がリスクを負ってまで私を助けたりなんてしない。
ライバルのみんなは、私が蓮を諦める事を心から願っているから。
本当は蓮とケンカしてる場合じゃない。
来週はもう卒業式。
いつしか私達の関係は砂の城に。
大きな波がやってきたら、跡形もなく崩れ去ってしまう。
不安定な気持ちに、不安定な関係。
心の隙間を埋める時間さえ残されているのか、今の私にはわからない。
…そして、翌日。
希望している大学の二次試験が行われた。
私は蓮の自宅の机の中に忍ばせたお揃いのお守りをポケットの中で握り締めて、これからテストが行われる大学の門をくぐり抜けた。