「じゃあこの前のバレンタインの日に告白してきた女の前で言い返したアレはカッコつけだったの?俺の前ではいい顔がしたかった?」

「違う!そんなつもりはない。」


「あの時は、お前が相手に立ち向かっている姿を見て、以前と比べて強くなったな~って感銘を受けたけど、俺がいなければ黙って見てるだけなの?」

「だから、違うって言ってるじゃない。蓮!落ち着いて話を聞いて。」


「………今までもそうだったんだろ。花音達の話っぷりからすると、今日初めて悪口を言った感じじゃなかったけど。」

「確かに蓮の言う通り、花音達の悪口は今日始まった事じゃないけど…。」


「やっぱりそうなんだな。じゃあ、どうして今まで俺に相談しなかった?ずっと一人で苦しんでたんだろ。」

「それは…。花音達が私を名指ししてた訳じゃないから確信がもてないし…。」


「誰が聞いてもあれはお前だって気付くだろ。お前は俺と別れた途端、もう知らんぷりってか?俺じゃあ役不足って事?」

「…そうじゃない。蓮が役不足だなんて思った事なんてない。そんなに興奮しないで私の話を聞いて。」


「……っざけんな!」



花音の件は、蓮の気持ちを考えて口を閉ざしていたけど、彼は逆にそれが受け入れられなかった。



蓮がこんなに怒ったのは、きっと受験のストレスも重なっていたからだろう…。
昔から頭を悩ませていた問題が、再び彼の心を惑わせてしまう事に。