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「あいつ、諦め悪くない?まだしつこく蓮の周りをうろついてるよ。勉強を教えてもらうフリして近づいちゃってさぁ。」
「まだ自分がブスだって自覚してねーし。花音が鏡でもプレゼントしてあげれば?ま、あいつが美しくなるまで100年かかりそうだけどぉ。」
「あっはっは……やっだぁ。せっかくプレゼントした鏡がショック過ぎて割れちゃうよ~。」
「蓮は優しいから、近付けばまたやり直してもらえると勘違いしてんじゃない?」
「人の優しさを悪用して近付くなんて最低。」
「ブスの癖に色目使っちゃってさぁ。まぁ、その色目すらキモいんだけど。」
「ちょっと~、花音。言い過ぎ~。」
花音の人格崩壊が幕開けした。
しかも、ギャル友達を巻き込むから余計迷惑極まりない。
花音はどうやら先日のバレンタインで蓮にフラれてしまったらしい。
噂で聞いた。
だから、報復措置とされる心理攻撃は日に日にエスカレートしていく。
ほぼ毎週のように嫌味は言われてきたけど、女子更衣室だけでは気が収まらないようで、所構わず悪口を言うようになっていた。
今日は教室に男子が少ない昼休みを狙い、後方扉の片隅で仲良しメンバーと、私に聞こえるように敢えて大きな声で悪口を言っている。
さすがに悪口は慣れてるけど、これ以上花音の悪口がエスカレートしないように、黙って悪口を耐え抜くしか方法はなかった。
すると……。
「………なに、お前ら。いつもそんな事言ってんの?」
蓮は扉からふらりと姿を現すと、扉側の壁に背もたれしている花音達に怖い顔でそう告げた。