自宅で勉強している手を止めて机上のカレンダーを見ると、第一希望の大学入試日まで、およそ一週間に迫っていることがわかった。

更に一週間後は卒業式。
三年間通い続けた高校生活最後の日。



カレンダーの横には、昨年学園祭の時に撮ったお揃いの黒いTシャツ姿の蓮とのツーショット写真を飾っている。
写真を手に取り、彼との学生生活を思い返した。



『すっ…好きなんです…。柊くんが。』

『プッ…。俺のどこが好きなの?』

『顔。…顔以外よく分からない。』



高校に入学したての頃、アイドルのような整った顔立ちの蓮に一目惚れした。
しかも、こんなバカげた告白をすんなり受け入れてくれて…。

いま思い返してみても、最低最悪な告白で笑える。




ーーあれから、もうすぐで三年。

高校生活の思い出はいつも隣に彼がいた。

恋人として寄り添った日々は二年間だったけど、奇しくも三年間同じクラスとして過ごした日々はかけがえのないもの。




幸せだった。
大好きな彼の笑顔を、毎日欠かさず独り占め出来たから。


安心した。
嫌がらせを受けても、最後は優しく抱きしめて気持ちを落ち着かせてくれたから。


許せなかった。
浮気をした蓮と、浮気に繋がる悩みに気付いてあげれなかった自分が。


悲しかった。
勘違いだったけど、蓮がこの世からいなくなっちゃうって思った事が。


辛かった。
クリスマスの日に嘘の気持ちを叩きつけて、蓮を苦しめてしまった事が。



三年間の様々な感情の記憶が、頭の中を駆け巡っていく。
告白した当初は、波乱な高校生活が待ち受けているとは思いもしなかった。



今はもう彼は隣に居ないけど…。
およそ三年前に告白したあの日以上に愛してる。