大和と奏に挟まれながら、教室へ帰ろうとしていた道中。
昨日の悪夢のような出来事を全てを大和から聞いた奏は、私の様子を心配して聞いてきた。



「昨日は散々な目に遭ったな。大和から話を全て聞いたよ。」

「うん……。あの時、大和が来てくれたから助かったよ。」



昨日、大和が様子のおかしい私を追いかけて来てくれたお陰で助かった。
蓮との復縁を焦るばかりに注意力が散漫になっていた事が、今回の要因だったかもしれない。



「昨日の出来事がトラウマにならなきゃいいけどな。」

「うん…。助けに来てくれた大和は本当にカッコ良かった。内鍵をかけられちゃったから逃げ出すのは厳しいかなって思ってたけど、非常ベルを鳴らして火事を装うなんて流石だなって。」

「さっきお前がGOサインを出せば、お前の気が済むまであいつらをボコボコにしてやったのに。」


「あのねぇ……。私はそこまで望んでないから…。」



蓮と交際を初めてから、今まで数え切れないほどの嫌がらせを乗り越えてきたけど…。
人生最大のピンチを救ってもらえた私は、最高の友達に恵まれた。



紬、大和、奏…。

三年間の高校生活を振り返ってみたら、私は一人で学生生活を送っていた訳じゃなくて、みんなに少しずつ支えてもらいながら貴重な青春時代を過ごしていた。