ーー梓が体育館の用具室で男達に襲われそうになった日の、翌朝。



「ほら、梓に謝れよ!」



大和と奏は、昨日梓を犯そうとしていた男達を人影のない体育館裏に並べて、梓の目の前に跪かせた。
雨雲の隙間からパラパラと降り注ぐ小雨が、この場に集まる六人の身体に染み込んでいく。


大和は奏にヘルプを頼んで一人でも逃げ出さないように、男達を囲い込んでこの場へやって来た。



男達は大和に逆らえないが、謝罪をする様子も見せない。
まるで自分達には無関係のように目線を合わせない。

だが、大和も黙っちゃいない。



「あっ、そう。お前らに謝る気がないなら……、誰から片付けていこうか。まぁ、誰が先でもいっか。どうせ一人残らず地獄行きにしてやるつもりだし。」



大和は挑発的な態度を取り、指の関節をボキボキ鳴らし、上から見下して男達を睨みつける。
隣にいる私まで震え上がってしまうほど、昨日に劣らず憤慨している。



「ねぇねぇ、早く謝った方がいいよ~。大和はキックボクシングの県大会三位の実力者で長年身体を鍛えてきたからな。ちょっとやそっとじゃ人に負けないんだよねぇ。」

「ちょっ……。大和…、そこまでしなくても。」



梓が大和の間に割って入った瞬間、男達のうちの一人が先導を切って頭を下げた。



「菊池…。昨日はゴメン。」



左端の一人が謝った後、立て続けに残りの二人は無言で頭を下げた。