高梨先生は、私が二年生の時の担任。
今はもう三年生だから…、つまり去年。
先生は年が9歳離れていて、落ち着きがあって理解ある大人の男性。
背が高くて、
キリリと整った端正な顔立ちに、
清潔感あふれる短髪。
軽いジョークを交えながら進行する授業は、生徒達にも好評だ。
休み時間には女子生徒に囲まれるほどの人気者。
お陰で校内で捕まえるのも一苦労。
高梨先生の人気は女子生徒だけじゃない。
男子生徒から見ても理解ある兄貴的存在だ。
「高梨先生!ここが分からないんですけど…。」
授業後に廊下を歩く先生を引き止めて、堂々と数学のノートを開いて指をさし、先に書き綴っていた密会の予定を知らせる。
コソコソするより、堂々と振舞っていれば他の生徒にも関係がバレないはず。
本当は、声を大にして『私の彼氏は高梨先生なの~~!』って自慢したいけど……。
当然、そんな日が訪れる訳が無い。