用具室を出てから大和に誘導されて、体育館裏に周った。



今日一日で精神的にボロボロに。
朝学校に到着したら、私のジャージに墨がかけられて机の上でグシャグシャに置かれていたし。
さっきは、蓮への腹いせで男達に犯されそうになった。



疲労感と悲しみで衰弱している身体は、立つ事で精一杯に。

さっきは運良く大和に助けてもらえたけど、先程の出来事がフラッシュバックしてしまって怖くてガタガタと身体の震えが止まらない。



すると大和は、尋常じゃないほど身体を震わせてる梓の様子を見て胸を痛める。



「俺さぁ、お前にこれっぽっちも気がないけど…。今日一日だけ、お前の為に胸を貸してやるから思いっきり泣いていいよ。」



大和は不器用にそう言って、手をガバッと大きく広げた。



「えっ……。」

「怖かったんだろ。思いっきり泣きたいんだろ。俺さぁ、女の気持ちをよくわかってないから、身体を張る事くらいしか力になってあげれないけど。」



さっきは本当に怖くて、心の居場所がなくなっていた。
今も大和と話してないと、男達の事ばかりが頭に蘇ってしまうほど気持ちが行き詰まっている。


今は何かに頼ってないと不安で苦しいから、大和の胸に飛び込んでギュッと強くしがみついた。
大和は素直に飛び込んできた梓の髪を優しく撫でる。



「辛かったな。到着が遅くなってごめん。」

「……ううん、遅くなんてない。あの時大和が来てくれなかったら、私っ…私………。」



大和の胸の中は香水のかおりがした。
その香りが不思議と安心材料になってしまったのか、身体中に残っていた最後の水分を涙へと変えていく。