梓は施錠音に反応して振り返ると、そこには何処かで見た事のある別のクラスの男子の姿があった。
不気味な微笑みが向けられた瞬間……。



「……っ!」



先程の男子にハメられていた事に気付いた。



跳び箱の横から一人、……そしてまた一人と姿を現して目の前に現れる。
ここに居る男子三人は、大人しく身を潜めながら梓の到着を待っていた。


学校の中で、生徒が唯一鍵をかけれる場所は、この用具室だけ。
その事実を知っているのは梓だけでなくて、他の生徒の誰もが知っていた。



迫り来る期日に焦りを感じて判断力を失っていた梓は、蓮という名の甘い罠にあっさりとハマってしまった。



「何で………扉の鍵をかけるの?」



梓は用具室内に居る男子三人にそれぞれ視線を向け、怯えた声で問い尋ねた。
恐怖で震え上がって身体が硬直している。

男のうちの一人が、ゆっくりとした足取りで梓の目の前へと向かい足を止めた。