告白スペースから建物の裏へと周った私達。
蓮は半分呆れ返りながらも吹き出すように笑った。



「あはは……。すげーな。あんなに勝気な姿勢で他の女に突っかかっているお前、今まで見た事ねぇよ。」



蓮は中庭のベンチに腰を下ろして、背負っていたリュックを足元へ下ろす。
梓も続いて座り、鞄を脇に置いた。



「蓮と交際を始めてから今日まで流した涙は、プール一杯分に相当していたかもしれないけど…。私だって泣いてばかりじゃない。」

「お前、ビックリするくらい強くなったな。…でも、やる事は極端だよ。チョコを盗んだり、人の告白を邪魔したり…。」


「ごめん……。」

「でも、『頭がおかしくなきゃ蓮とは付き合えない』なんて失礼だな。まるで俺が異常者みたいじゃん。」



そう言って、苦笑いをする蓮。
ようやく蓮と二人きりなったと実感し、不安だった心は安堵へと導かれる。



「ねぇ。大量に貰ったチョコはどうするの?」

「んー、受験中に腹壊したらシャレにならないからなぁ。手紙だけ受け取るから、貰ったチョコは半分おまえにやるよ。」


「一人で全部食べないの?」

「さすがにあの量はムリだろ。」


「受け取った手紙は全部読むの?」

「おいおい、今日はヤケに質問攻めじゃない?俺の為に一生懸命書いてくれた手紙だろ?ちゃんと読んであげないとね。…ひょっとしたら、『チョコと一緒に私を食べて』とか書いてあるのかもしれないし。」

「それはない。」


「タダでくれると言うなら…。」

「蓮っ!!」



一昨年、去年は触れなかったこの話題。
蓮が沢山チョコを貰っているのは知っていたけど、チョコや手紙の行方は追求しなかった。

でも、今は無性に蓮の身の周りの事が気になって仕方ない。