すると、蓮に告白中だった髪の長い彼女は私の存在に気付くと、あどけない表情から一変。
鬼の形相に様変わりして不快感をあらわにした。



「突然横入りしてきて何?今どんな雰囲気かわかるでしょ?ちょっとは空気読んでよ!」

「本性を現したわね。空気?……っふふ。頭がおかしくなきゃ蓮とは付き合えないんだよ。」



お互い腕を組みながら勝気な態度でタイマン勝負に。
勿論、蓮は蚊帳の外。



「梓、やめろよ…。」

「早くあっちに行ってよ。あんたはもう彼女でも何ともないんでしょ?」

「今は復縁する為に頑張ってる途中なの。私だって簡単に引き下がられないんだから!」


「もうフラれてるなら覚悟決めてよ。男なら他にわんさかいるでしょ。」

「それはあなたにも言える事でしょ?フラれたらもう二度と可能性はないの?」


「そんなの知らないわよ。ブスはブス同士で付き合えばいいじゃない。その方がお似合いよ。」

「あら。じゃあ、あなたは蓮と同じレベルとでも言いたいの?……おっかしいなぁ。あなたはイケ女メンバーに居なかったような気がするけど。」



お互い一歩も引かず一触即発な雰囲気に包まれている。
もう、卒業まで2週間程度しか残されていないから、私も彼女も譲る気などない。

この三年間、目に見えない嫌がらせを耐え続けてきたからこそ目に見える敵に立ち向かう勇気があった。



手の施しようがない状況に追い込まれた蓮は、イライラした様子で梓の腕をガッシリ掴んだ。



「あ〜っ!もー、お前は本っっ当にしょーがねぇな。ほら、行くぞ。」

「………へっ?」

「柊くんっ!」


「斎藤さん…、マジでごめんな。じゃあ、これで……。」

「待って、柊くん………。」



蓮は申し訳なさそうに額の前でごめんと合図するかのように片手を立ててそう言い残すと、梓の手をグイグイ引っ張って告白スペースから立ち去って中庭へと移動した。