まさか。
違うよね……。

いくらエロでバカの蓮でも、扉越しにクラスメイトがいる用具室で私に変な事しないよね。





梓はジャージを脱いで体操着姿になった蓮を横目に、全身真っ青で信じられない気持ちで塗り固められたまま胸の前で腕をクロスさせた。



だが、梓の考えとは裏腹に、蓮は自分が着ていたジャージの上着をふわりと包むように梓に着せた。



「濡れたジャージの代わりに俺のを貸してやるから。今から美玲んトコ行ってたら授業に間に合わねぇし。」

「あっ…、えっ……?」



蓮は呆気に取られている梓の片方の腕をとり、まるでマネキンに服を着せるかのようにジャージの袖を通し始めた。

最後にファスナーを首元まで締め上げると、ちょうど本鈴が鳴り響く。



キーン コーン カーン コーン



「ふぅ、何とか時間内に間に合ったな。」



蓮はふと見上げるように用具室の扉に目を向けた。



蓮はこれからジャージを借りに行くと体育の授業に間に合わないと思い、自身のジャージを梓に貸すつもりで用具室に連れて来た。

だが、梓は蓮に襲われると勘違いして自爆へと追いやられていく。