「あ、そうだ!この間、蓮は独り身で寂しいから花音と付き合おうかどうか迷ってたみたいだけど、どうすんの?……うかうかしてると、蓮持ってかれちゃうよ。」
「えっ!あの花音にっ?それは無理…。」
「しかも、『あの推定Dカップに飛び込むまでは、高校を卒業出来ねぇ。』とか言ってたけど。…ふっ、お前のその胸じゃ当分勝てそうにねぇな。」
「……っく!」
それはそれは。
でっかい夢だこと…。
しかも、大和まで残念そうな目つきで私の胸を見て嘲笑っている。
どうせ私の胸は小さいですよ。
梓は唇を梅干しのようにすぼめながらワナワナと身体を震わせていると、階段の方からパタパタと足音が近付いてきた。
「梓~、お待たせ。……あっ!大和くん…。」
「お!紬登場。梓と一緒に帰るの?」
「あっ…うん。教室に財布を取りに戻っていたの。」
息を切らしながら戻ってきた紬は、大和の顔を見るなり頬を赤く染めた。
大和は「ん、じゃあな。」と言うと、紬にハイタッチをして校舎の中へと入って行く。
大和のハイタッチは『後はよろしく』という意味合いを含んでいるように思えた。