蓮は用具室の扉から離れて梓の目の前に立ち、有無を言わさずジャージのファスナーをシャーッと下ろした。
あっという間に白い体操着が顔を覗かせると、梓は顔面蒼白に……。



「バカっ!何でいきなり服を脱がすの?……正気?一体、今から私に何をするつもりなの?!」



早口で怒り狂う私の声が届いていないのか…。
蓮は冷静な表情で躊躇いもなくジャージを身体から剥がしていく。



「やめっ……っ。」

「シーっ。騒ぐなって。」



服を脱がせないように抵抗するが、さすがに男性の力には敵わない。



蓮ったら…。
今から何をしようとしているの。
服を脱がせたら次は何をするつもり?

私、いま先生と付き合ってるんだけど。
蓮とは別れてるんだし、今さらどうこうなる気なんてないから。



ドックン…… ドックン……



全身が揺れ動くくらい暴れ狂う心臓。
額に滲む冷や汗。
音を立てながらゴクリと飲む息。


用具室は私と蓮の二人きり。
そして、扉の一つ向こうには体育の授業待ちのクラスメイトが。



浮気の二文字が頭を過ぎった瞬間、過去に経験した事のないほどのスリルが襲いかかった。



「お前の身体ならもう見飽きているよ。…大した身体になってから言えよ。」



蓮は口を尖らせながら嫌味を言うと、梓のジャージの上着をひっぺがした後に、自身が着ているジャージの上着も脱ぎ始めた。