女性の目線に気付くようになってからは、蓮の1歩先を行動するように心掛けていた。

店に入店すると、店員が最初に目に飛び込むのは先に来店した客の顔。
だから、蓮の為を思って先に入店する。

人が多い所では、会話を増やして人の目から意識を逸らしてあげていた。





だけど、自分自身も蓮の顔が好きなので、羨ましがっている女子の目線を横目に、優越感に浸ったりはしたんだけど…。

顔普通、体型普通、知能指数が普通なオンパレードの私には、不釣り合いとか、ブスだとか、豚に真珠とか、悪口を散々言われて続けていた。





でも、蓮はより多くの視線が集まる後夜祭のステージ上で堂々と私に告白。
男は必ずしも美人や可愛い子が好きな訳ではないという事が、あの時に証明出来ただろう。



あの日、蓮は私を嫌がらせから守る目的と、ライバルの先生に宣戦布告の意味を含めた目的として、身体を張ってステージに上がった。

全校生徒から突き刺さるような視線と、注目を浴びる発言。
冷やかす声に、不満を漏らす女子の悲鳴。

本当はいっぱいいっぱいだったはず。


イケメンコンテストの方では、他の受賞者もいて視線が散らばるので若干マシだったと思うんだけど、あの日は私の為だけに色んな我慢をしたに違いない。





魅力満載な容姿で人から羨ましがられたりするれど、中身は周りの人と同じ。
メリットとデメリットを、人より多く抱えてるだけ。

一瞬華やかそうに見える彼らだって、結構色んな悩みを抱えている。