ーー結局、私は20時まで蓮の家に居座り、三食きっちりご馳走になってから、一階のリビングで寛いでいる蓮の両親に別れの挨拶をした。



梓「そろそろ帰ります。お邪魔しました。」

母「あら、梓ちゃん。もう帰っちゃうの?寂しいわね。」

父「蓮、夜道は危ないから梓ちゃんを駅まで送ってやりなさい。」

蓮「うん、行ってくるわ。」



別れ間際の挨拶は、私達が別れる前と変わらぬまま。
泊まった後は、お決まりのように別れを惜しんでくれる。



三ヶ月前。
久しぶりに蓮の家に顔を出した私に、両親は昔と変わらず笑顔で招き入れてくれた。

私が蓮の家に入り浸らなくなってから空白の半年間はあったけど、きっと両親はパタリと来なくなった事に気付いてたはず。



昨晩はこっそりと自宅に侵入したにも関わらず、およそ九ヶ月ぶりにお泊まりした私を気遣い、敢えて何事も無かったかのように接してくれたのではないかとも思った。

両親の優しい笑顔に包まれると、蓮と別れる前のあの頃までタイムスリップしたくなった。



蓮のお父さん、お母さん…。
私達は必ず復縁するからね。



梓は以前のように、この家に再び出入り出来るようになる事を願って、蓮の家を後にした。