ーー翌朝。

前日に部屋から追い出さた蓮は、リビングのソファーで寝ている所を、起きてきたばかりの母親が気付いて声をかけた。

ソファーで寝ていた理由を問い尋ねられると、蓮は昨日の経緯を伝えて、梓がこの家に泊まっている事を伝える。






大らかな人なのか。
それとも、人一倍寛大な心の持ち主なのか。
若くは、蓮に一切無関心なのか…。


蓮の両親は、夜中にこっそり家に忍び込んだ私に特に何を言う訳でもなく、普通に笑顔で食卓を囲んでいる。


二年も付き合っていた…いや、蓮の両親は私達が別れた事を知らないから実質三年。
私に対するハードルがやけに低すぎると思った瞬間だった。





ふてくされている蓮とは対照的に、好意を寄せてくれている両親。
学校より味方率が高いこの家は、はっきり言って居心地がいい。

愛犬のキャラメルだって、子犬時代から可愛がっているからすっかり私に懐いている。



梓「お義母さん。夕飯はカレーが食べたいな。」

母「まぁ、ウフフ。お義母さんだなんて。梓ちゃんったら、気が早いんだから。」

蓮「は……?何、その呼び方。しかも夕方まで居座るつもり?早く自分の家に帰れよ。」

父「蓮、梓ちゃんにお前とは何だ。梓ちゃんに謝りなさい。」


蓮「……父さんまで勘弁してくれよ。」



学校では嫌がらせを受けて大変な思いをしているけど、蓮の家では歓迎してくれる。

やば……。
居心地が良すぎて、この家からもう離れられないかも。