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『次は、品山駅。品山駅でございます。間もなく次の駅に到着致します。』



酔っ払い梓を電車に押し込んでから5駅分乗車していると、車内アナウンスが流れた。
俺は隣の席に座る梓の肩を揺さぶって起こす。



「こら、寝るな!そろそろお前んちの最寄り駅に着くから目を覚ませ。」

「やぁだ〜、家に帰らない。今日は蓮の家に泊まるってお母さんに言ってきちゃったからぁ。」


「………は、誰もウチに泊めるなんて言ってねぇし。」



駄々をこねる梓は、まるで幼稚園児のように扱いづらい。

梓の最寄り駅まで一緒についてきたのに、座席に端に座っている梓はすぐ横に設置されている手すりにしがみついて離れる気配がない。



引きずり降ろそうと思って腕を強く引っ張ったが、今日に限って馬鹿力を発揮。
指先の色が変色するほど強い力で手すりにしがみついている。



「こら!次の駅に着いちゃうから早く手すりから手を離せ。」

「嫌、電車から降りたくなーい。」



そんなやりとりをしてる最中……。



『扉が開きます。ご注意下さい。』

プシューッ……


駅に到着して扉が開いた。