「お前は梓がまだ好きなんだろ?なら、さっさとやり直せばいいじゃん?」

「………いや、まだダメだ。」


「何で?」

「それは、俺の問題がまだ解決してないから。」


「なに、ソレ?お前の問題って?」

「高梨と別れたなら尚更チャンスだろ?もし、あいつの気持ちが俺の方へ向き始めているなら、いま土台をしっかりしておかないといつになっても問題が解決しないままになってしまう。だから、まだあいつとは付き合えない。」



俺には拘りがある。

あいつと交際している時からずっと同じ拘りを持っていた。
それがいつしか悩みとなり、その悩みが失態となり、その失態がしっぺ返しとして最終的に自分の首を絞めてしまったが……。


今は冷たく突き放しているけど、別に嫌いになった訳じゃない。
高梨と別れたのなら、尚更チャンスだと思っている。



「土台の意味がわからないんだけど。」

「まともに恋愛していないお前にはわかるわけねーだろ。女が出来てから言えっての。」


「お前って面倒くせぇな。そんなんだから俺は彼女を作りたくないの。」

「あーっ!こんなにヤキモキするくらいなら、いっそ梓を諦めて、言い寄ってくる花音とでも付き合おうかな〜。」


「…マジか。」

「あの推定Dカップに飛び込むまでは、高校を卒業出来ねぇ。」


「お前…花音のおっぱいと同じくでっけー夢だな…。あ、紬発見!俺、ちょっと行ってくるわ〜。」

「あっ…おい、待て…。」



ヤケクソになって冗談言ってる最中だったのに、大和は引き止める俺を無視して、近くを通り過ぎた紬ちゃんの元へ行ってしまった。


さすが大和。
悩み事を相談しても解決しない上に、問題がややこしくなる面倒な男だ。