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ドスッ…
紬と一緒に更衣室を出てから体育館に向かう途中、突然左肩を殴られたような強い振動が起こった。
音と共に空中に飛び散る黒い物体。
びっくりして背後を振り返ってみるが、後ろには誰もいない。
飛び散った物体の一部が頬に付着している感触があった。
指で頬をなぞって確認すると、物体は黒くてざらざらしている。
泥……?
一体どこから飛んできたんだろう。
梓は指先を頼りに泥を振り払っていると、隣を歩く紬は梓の異変に気付く。
「大変!梓のジャージの左肩が泥まみれになってる!」
「えっ……。」
「下に泥だんごが落ちているから、誰かが意図的に投げつけたんだよ…。」
その時、私のジャージの左肩に泥だんごが投げ付けられた事が判明した。
同時に髪や首などに泥が飛び散った様子。
「ヒドイ!なんで梓にこんな酷い嫌がらせを…。早く教室に戻って拭かないと。」
「………うん。」
紬はショックで落ち込んでいる梓の手を引いて、来た道をUターンした。