大学入試共通テストを終えた日の翌日。

クラスメイト達は一山越えて緊張感が解れたお陰か、安堵の表情で登校して友人同士で試験の出来具合いを確認していた。



短大を希望している紬の試験はこれから。
今日も休み時間をフルに使って、黙々と机で勉強している。

奏と大和は、既に専門学校の入学が決まっている。




一方の蓮は、いつもと変わらない様子。
以前なら、テストの出来具合いなど互いに確認し合っていたのに、今は近付く事すら難しい。



学習机の2段目に忍ばせたお守りに気付いてくれたかな。
効果があったかな…。

私も同じお守りを試験会場に持って行ったし、全力を振り絞って頑張ったよ。



当然、そのセリフは伝えられないから心の中からテレパシーを送った。
以前なら、話さなくても目配せだけで通じ合えたのに…。






高校生活はもう残り僅か。
それなのに、まともに話ができる状況ではない今は、もどかしい気持ちに押し固められていた。