ガチャ……

いざ蓮の部屋の扉を開けると…。
私の身体は一瞬にして蓮の香りに包まれた。

最近、冷たくされていたせいか、香りだけでも蓮を感じて涙が出そうになった。



部屋の中に入ると、迷う事なく学習机の前へ。


先日、蓮は私を忘れると言った。
だから、今の気持ちレベルが知りたい。


蓮が大事にしていた鍵付きの引き出しの中に、今でも私との思い出の形跡が残っているかが気になった。
前回引き出しを開けた時は、私との思い出を大切に保管していたから、今でも想いが残っていてくれるのであれば、引き出しの中身はそのままなはず。


机の上に置いてある筒形のケースから引き出しの鍵を取り出して解錠する。



引き出しの中は、今の蓮の心の中と同じ。
心の奥底では私の事を忘れていないと信じて……。



思い出がきれいさっぱりに整理されていたらどうしよう…と、不安な気持ちに押しつぶされながら、恐る恐る引き出しを開けた。



ガシャッ……



すると……。
引き出しの中身は、以前開けた時と変わらず綺麗に整理されたまま。

現状維持を目の当たりにすると、少し希望の光が見えた。