前回蓮の家にお邪魔したのは、『具合が悪い』と言って、先生とのデート中にスマホメッセージが入った時。
いま振り返ってみると笑っちゃう。
蓮の病気が悪化したと思い込んで先生とのデートをすっぽかして、蓮の家に行ったら『一緒に昼飯食おう』と引き止められて、見た目はピンピンしてておかしいなとは思いつつも、一緒に勉強して、お茶して…。
実際は病気でもないのに、私の勘違いを悪用して家に呼び寄せるなんて、最悪。
でも……。
『行くな……。』
『お前は自分の意思でここに来たんだろ。高梨と一緒にいても、俺の事を考える隙があったって事だよな。……もしそれが正解なら、あいつんトコに行くな。』
『いまお前の気持ちが揺れてんのに、行かせるつもりなんてないから。』
蓮はいつも全力で私と向き合っていた。
高梨先生と交際していても関係ない。
私の気持ちがどの位置にあるかを慎重に見極めながら、一つ一つ駒を進めていった。
球はストレートしか投げない。
でも、そんな不器用なところが大好きだから……。
私には赤いリップは似合わなかった。
早く大人になりたかったけど、まだまだ子供の私には等身大の恋が似合ってるのかもしれない。