「あいつは疲れてたんじゃない?塾へ行った後に俺らとクラブで遊んでいたから。聞いた限りでは何か深刻な悩み事があって、酒に悪酔いしてその辺の女と寝ちゃったみたいで。浮気した事は殆ど覚えてないみたいだけど。」
「………塾?…悩み?そんなの知らない。」
「…お前は、ちゃんとあいつの話を聞いてあげた?」
「ううん。浮気されたショックで聞けなかった。…でも、蓮はどうしてそんなに勉強してるの?」
「その理由を先日ようやく聞き出したんだけど…。なんか、お前を幸せにする為らしいよ。あいつなりにお前との将来を思い描いたんだろうな。」
「私との将来…?何それ…。私は知らないし聞いてない。」
「あいつ…。付き合ってる時も別れた後も、頭ん中はお前一色に染まっていたから、俺らの誘いを断わってばかりで……。お前との時間を優先してたのは気付いてた?」
「う…、うん。」
「それが蓮の全てよ。最後まで信じてやれば良かったのに。今度はあいつがお前に愛想つかしたんじゃねーの?……ま、お前には愛するセンセーがいるから関係ないか。」
「奏っ!」
「じゃあ、まったねー!」
奏は立ち上がってから明るい声でそう言い背中を向けたまま手を振ると、クラスメイトが集合している校庭へと向かって行った。