ーー今日は雲一つない晴天。

五時間の体育の授業を前に校庭に次々と集まるジャージ姿の生徒達。

花壇の縁のレンガに座って頬杖をついている梓の横に、同じくジャージ姿の一員が腰を下ろした。



「何しけたツラしてんだ?らしくねーぞ。」



横目でチラリと確認すると、左横には奏が座っている。
ちゃんと顔を向けると奏は話を始めた。



「クリスマスに蓮と愛の逃避行したんだって?大和から聞いたよ。結構やるじゃん。」

「…は?愛の逃避行なんてする訳ないでしょ、バカ。前々からみんなでクリスマスパーティをしようって決めてたのに、当日になってドタキャンしないでよ…。」


「頑張ったんだけどさぁ、女が多いから都合がつかなくてね~。ま、俺が行かなかったお陰で蓮と二人きりになれたんでしょ?逆に感謝してね。」

「だから違うっつーの。…蓮と二人きりになったのは気を遣っただけ。」


「…誰に?」

「奏には関係ない!」


「チェッ…。」



蓮の相談相手はいつも奏。

大和に恋愛相談したとしても、交際経験があまりないから参考にならないので、さすがの蓮も相談してはいけない相手だと認識している。


奏の話っぷりからして、私達の現況を把握していない様子。
でも、奏なら何かしら蓮から相談を受けているかもしれないと思って、さり気なく探りを入れる事に。