紬は梓の涙を見て罪悪感に苛まれると、秘密にしていた話を明かした。



「…ごめん。実は私、この前高梨先生を呼び出して、梓が嫌がらせをされている話をしたの。」

「だから先生は嫌がらせの件を知っていたんだね。」


「…まさか、それが別れの原因に?」

「ううん、それは違う。」


「彼女の梓が酷い目にあっているのに、助ける気配すら感じられない先生に、ついひとこと言いたくなって…。」

「先生は嫌がらせの事を知らなかったでしょ。」


「…うん。だから、蓮くん以上に努力して梓を守ってって伝えたの。その時に蓮くんが偽彼氏として梓を守っている事を明かしてしまって…。それが別れの原因になったかと思った。」

「ううん…、違うよ。蓮が偽彼氏なのは、先生も知ってたから。」


「…………私、余計な事しちゃったかな。」

「ううん、いいの。先生とはあの日に別れようと思っていたから…。」



甘かった……。
先生…、そして紬に気持ちを伝えない事が、こんなに迷惑をかけていたなんて。



「先生の事、好きだった?」

「うん、好きだった。先生は大人だからつい甘えてしまって、最後は傷つけちゃったよ。バカだね…、私。」


「梓……。」



紬は梓の肩を寄せてギュッと抱きしめた。



こうやって少しずつ素直に心を開いていけば、気持ちが楽になっていくのかな…。