「………考えてた。」

「えっ、考えてた?」


「写真を撮られた時は後夜祭中だったから校舎から人が出払っていた。嘘で塗り固めた終末に待ち受けてるのは心の負債だから、別の切り抜け方を考えていたんだ。」

「……。」


「後夜祭中、梓と二人きりだった時に途中から柊が教室に入って来たから、柊の名前を挙げるのも有りかなって一瞬過ぎったけど、さすがにそれは間違ってると思ってね。自分の問題は自分で解決しなきゃいけないから、柊を巻き添えにしたくなかった。…で、最善策を練ってるうちに柊が校長室へ入って来てね。」

「そうだったの。…私は即答しなかった遼くんを少し誤解してた。ごめんなさい…。」



校長室での話が今になってしまったけど、初めて先生の想いを聞いて、ようやく蟠りが解けた。






大人には大人の考え方がある。

私はまだ未熟な人間だから、結果ばかりを追い求めていた。
でも、あの時の先生は私の考えを上回るほど慎重に考えていて…。

話を聞いてるうちに、先生の気持ちを理解しきれていない自分が恥ずかしくなった。