本当は、気持ちに気付くのが怖かっただけなのかもしれない。
きっと、蓮がやり直したいと言って距離を縮めてくるようになってから、二度目の恋が始まっていた。

先生とのデートを簡単に抜け出しちゃうくらい、蓮の存在が大きくなっていた。

だから、突き放された瞬間はまるで処刑台に立たされた囚人のような気分に。





紬は肩を震わせながら泣いている梓の頭を手で引き寄せ、自分の肩にもたらせた。



「大丈夫。蓮くんならきっと梓の気持ちを理解してくれる。梓自身が自分の気持ちに気づいた事が、きっとこの間より大きく前進しているはずだよ。」

「そうかな…。」


「二人は約三年間積み重ねてきた思い出があるから、関係は簡単に崩れないと思う。だから、今日はゆっくり休んでまた明日から頑張ろうよ。」



さっきまではどうしようもないくらい酷く落ち込んでいたけど、親友という心強い存在に救われた。

紬は、蓮との関係が簡単に崩壊しないと信じている。