……でも、どうしてこんなに胸が苦しいんだろう。
私は5か月前から先生と交際していて、蓮とは友達になったはず。
お互い別々の道を歩んでいるから、ドライに突き放せばいいだけの話。
しかも、こんな言い方をしたら過去形じゃなくて、現在進行形みたい。
それよりも……。
私は今どうして泣いてるのかな。
蓮の事なんてどうでもいいはずなのに。
蓮の気持ちなんて放っておけばいいのに…。
自分でもよくわからないけど涙が止まんないよ。
「……っ。」
蓮は身体を震わせながら涙を流す梓に気付き、目を丸くした。
「お前…、どうして泣いてるの。…ひょっとして、少しは気持ちが傾いてくれていたんじゃ…。」
「泣いてなんかない!私には先生という素敵な彼氏がいるし、浮気をした蓮なんてとっくに関係ないんだから…。」
「お前はいつも俺ばかり責めてるけど、お前は俺に対して何一つ非がねぇのかよ。」
「…何がよ?」
「まだ気付いてねぇの?俺は散々悩んでいたのに…。」
「浮気したクセに偉そうにしないでよ。……もう帰る。」
息が出来なくなるほど苦しくなり、その場から離れようとして蓮の手を振り解いたら、蓮は私の腕をガッシリ掴んできた。