「へっ…?」



ポカンとした表情ですっとぼけてみた。
ホント、質問の意味がわからないんだけど。



「だ〜か〜ら〜。誤魔化すなって。わかってんだろ?」



しつこいな。
わかってるのはお前だろ…って言ってやりたいけど、そうもいかず…。



「私も蓮くんと梓が付き合う可能性が何パーセントか知りたい!」

「うっ………。」



事情を知らない紬までもが蓮の質問の後押しする。
お陰で完全に逃げられなくなった。

当然、私の味方などいない。



はっきり言って、蓮と付き合う可能性は0パーセントには違いないんだけど…。
これをどストレートに言ってしまったら、さすがの蓮も凹むはず。

しかも、凹んだ勢いで私と先生の関係を紬にバラしちゃいそう。
先日、数学ノートの件でグレーゾーンを攻めてきた蓮ならやりかねない。



「じゅ…10パーセントくらいかなぁ……。」



全くその気はない。
おまけのおまけで言った。
蓮との可能性なんてゼロ、ゼロ、0〜。


私には高梨先生という最高に素敵な彼氏がいるのに、浮気が原因で別れた元彼と付き合う訳がない。
ないないない!
絶対ないっ!


それなのに、蓮は……。



「マジ?10パーセントもあるの?よっしゃ~~~!」



そう言って、クラスメイトがお昼ご飯を食べている教室で…。

親友の紬の目の前で…。

椅子が倒れるほど勢いよく席を立ち、私に覆い被さるかのように抱きついてきた。



私が箸でつまんでいた卵焼きがコロンと床へ落下していく……。



蓮……。
正気なの?

教室にはあんたと二人きりじゃないんだよ。
この様子はクラス全員の目に触れているんだよ。
それに、私は先生と付き合ってるって知ってるでしょ。





蓮のせいで、私はクラスメイトから一斉に視線を浴びた。
驚きとショックで気を失いそうに……。