ーー今日は蓮達と約束していたクリスマスパーティの日。


イケメントリオと私と紬の計五人で、夕方からカラオケルームでパーティをする予定だったんだけど……。
複数の彼女を持つ奏は都合がつかなかったのか、当日になってドタキャンした。


さすがに一人で四人の彼女の相手をするのは、時間が足りなかった様子。
紬は五人揃って遊ぶ機会を失って残念そうに肩を落としている。



予約していたカラオケ店の部屋に入ると、いち早く席に着いた紬は、持参した袋の中から可愛くラッピングをした手作りのカップケーキをみんなに配った。

中でも喜んでいたのは大和。
受け取った直後にラッピング袋を開けていた。



「うぉーっ、すっげぇ!プロのパティシエが作ったみたいに上手じゃん。カップケーキの上に乗っかってるピンクの生クリームなんて、どうやって作ったの?」



彼女を持たない自由主義者の大和にとって、人からプレゼントは特別な物。
しかも手作りのお菓子。

発狂混じりの尋常じゃない喜び方からすると、愛情のこもったお菓子をもらったのは、恐らく今年のバレンタイン以来だろう。



紬の気持ちを知っている梓と蓮は、そんな大和の姿を見るなり互いに目配せをした。