「じゃあ、質問。」
「…なぁに?」
「梓は相談とか悩み事とか…。年頃だから、言い難い事や心に留めている事とかあるんじゃないかな。」
高梨は紬からの忠告が身に沁みていた。
反省を機に、梓から本音を引き出そうとしていた。
「あははっ、担任っぽい質問だね。」
「梓は普段から友達の話だったり家族の話だったり。あまり身の上話をしないタイプだから。」
「そうだっけ?うーん……勉強以外では特に思い浮かばないかな。」
「……そっか。」
単にパッと思い浮かぶ悩みが見つからなかった。
最近は、蓮の病気騒動が最大の悩みだったけど、それは先日解決したばかり。
しかも、わざわざ先生に伝えるような話でもないので、敢えて口にしなかった。
でも、その後から先生の口数は減った。
寂しそうな瞳で、窓の向こうの景色を眺めて静かに食事を進めていた。