蓮は空を見上げて何かの考えに行き着いたのか、まぶたを落とすように彼女と目線を合わせた。



「勇気を出して告ってくれてありがとね。」

「えっ…それじゃあ…。」


「俺、彼女(あいつ)が好きなんだ。俺とあいつは棒磁石のような関係で、くっついたり離れたり。もし、お互いがN極同士の時であっても、目に見えない力が発揮してS極側を探してる。…俺は、それが恋なんじゃないかって勝手に思ってる。」



蓮は私達の関係を棒磁石にして例えた。

交際してる時はN極とS極で、別れた今はN極同士。
でも、N極同士の反発する力があまりにも強いから、反対側のS極は真っ直ぐのままではいられなくなった。



「彼女の事が好きでもいい。彼女には内緒でもいいから…。二番目の彼女でもいいから…。」

「悪いけど、俺に二番目はないから。」



蓮は、彼女には無駄な期待はさせないように目と目を合わせたままそう言い切ると、彼女は諦めたように目を逸らした。



遠目から見ていた私まで蓮のストレートな気持ちが伝わってくる。


偽彼女なのに申し訳ないとか。
告白現場を覗いて悪かったとか。
そういった、第三者的な感情じゃなくて……。

簡単に言葉では言い表せないほど、複雑な心境に飲み込まれていた。