「蓮くん。病気の件は許してあげてもいいけど、条件付きだよ。」
紬はそう言うと首を傾けてニコッと微笑む。
一方の蓮は、紬からの予想外の提案に目をギョッとさせる。
「えっ…、条件とは?」
「私と梓、蓮くんと大和くんと奏くんの五人でクリスマスパーティをしない?もうすぐ卒業でしょ。みんな進路先が別だからバラバラになっちゃうよね。だから、今のうちにみんなでパーッと遊ばない?」
「ノッた!遊ぼ遊ぼ、そうしよう。…な、梓。」
「そうだね。みんなで思い出作りもいいかも。」
「…俺は梓と二人きりの熱々のクリスマスでもいいけど。」
「バカ言わないでよ。」
「あはは…。」
「今から奏と大和にクリスマスパーティの事を伝えてくる。じゃ、また明日。」
「蓮くん、よろしくね〜。」
「ばいばーい。」
蓮はウキウキした足取りで、奏と大和のそれぞれのクラスへ向かった。
すると、紬は蓮の背中を優しい目つきで見つめながら言った。
「蓮くん…、病気じゃなくて本当に良かったね。」
「あんなに元気な姿を毎日のように見ていたのに、私達はちっとも気付かなかったね。」
蓮の謝罪後によくよく考えてみたんだけど、勘違いから始まった病気騒動。
蓮が病気だと勝手に決めつけたのは私。
紬と大和に話を大袈裟に繰り広げたのも私。
事の発端は自分にあるけど、万が一事実があからさまになってしまったら、私は崖っぷちに…。
今回の騒ぎは蓮の謝罪によって都合よく収まったので、敢えて触れないでいた。