ーー同日の放課後の教室内。

梓と蓮は二人揃って紬の席に行くと、蓮は紬にこう言って頭を下げた。



「ごめん……。紬ちゃんに心配をかけていたみたいだけど…。俺、病気じゃないから。紬ちゃんまで誤解している事をさっきまで知らなくて、謝るのは今になっちゃったけど…。」

「えっ、蓮くん病気じゃないの?」


「あぁ。俺はいつの間にかみんなの間で病気って事になってたみたいで…。自分も先月知ったばかりでビックリしたけど……。」



梓は放課後直前に、紬も蓮が病気だと勘違いしている事を伝えていた。

すると、紬は安堵により瞳に涙を潤ませる。



「そっか。蓮くんが病気じゃなくて本当に良かった……。梓と二人でずっと蓮くんの体調を心配してたんだよ。」

「ごめんね。」



最近、たわいもない会話の間に蓮の体調話を挟んで心配していた紬。

梓達が付き合っていた当初は関わりが薄かったけど、ここ最近は蓮を含めた三人で過ごす機会が増えたせいか、時間と共に紬の中での存在感が増していた。