ーー蓮との話し合いは想像以上に時間がかかってしまい、本鈴が鳴り終えるまでに教室には戻れなかった。



幸い5時間目の国語教師はまだ教室に到着していない。
しかし、クラスのみんなは既に着席。
遅れて教室に入った私達は、一斉にクラスメイトの目線を引いた。



無表情の蓮に次いで、目を真っ赤にして教室へ入る私。

紬は花音の傍で保健室に向かっていく様子を一部始終見ていたから、私の体調が想像以上に悪かったのではないか……と思ったのか、心配そうな目つきで見ている。


その一方で、私達の事情など知るはずもないクラスの生徒達は、顔色一つで別れ話でもしたのではないかと勝手に噂話を始めた。





蓮が病気じゃなくて安心したけど、泣いたせいかドッと疲れが出た。
お陰で授業中はもぬけの殻と化していた。






彼女がいなくて心が暇な大和は、最後に怒り狂った姿を見たっきりで音沙汰がない私に近況を聞き出そうとして、しつこくメッセージを送ってきた。

そんなに暇なら、他人の恋愛じゃなくて自分の恋愛を頑張ればいいのにさ。