苦しみから解放されたら、涙がポロポロ溢れていた。
泣くはずじゃなかった。
弱気な自分を見せたくなかった。
でも、蓮が病気じゃないと判ったらコントロールが利かなくなっていた。
梓は泣いてる姿を隠す為に、右手の甲で軽く目をこする。
「……泣くなよ。」
「バカヤロぉぉ……。蓮なんて、もう嫌い!大大大嫌い!もう絶交だからね!絶対絶対、許せないんだから……。」
「………ごめん、悪かった。俺はこれからもお前の傍で生きていくから。」
蓮は反省の色を醸し出しながら梓の髪をグシャグシャっとかき乱す。
それにより、梓は水道の蛇口を最大限までひねったかのような涙がドッと溢れてきた。
蓮が病気じゃなくて、本当に本当に良かった。
でも、思い込みじゃなくて蓮が本当に病気だったら、私は……。
梓が全ての想いを伝え終えた瞬間、校内に本鈴のチャイムが響き渡った。