「…は?恋の病なんてバカじゃないの?」



梓は怒りで口元がヒクヒクと痙攣し始めた。



「思い返してみろ。俺はお前に病気になったなんてひと言も言ってねぇし。」

「じゃあ、私がカン違いしているって気付いた時に言ってくれれば良かったでしょ?」


「俺だって、みんなに病気扱いされていた事を知らなかったよ。裏で身に覚えのない噂が勝手に広がってるし。何故病気に繋がったのか、それがどうしてみんなに伝わってるのかさえ思い当たる節がないし。」

「だったら最初に噂を知った時に教えてくれれば良かったでしょ?蓮が死んじゃうんじゃないかと思って、本気で心配してたんだよ!」



感情をぶちまけながらそう言ったら、蓮はキョトンと目を丸くした。



「お前……。本気で俺の事を心配してくれたの…?」

「そうだよ!……毎日毎日考えてた。何をしてても、蓮の事を思い描いたら自分でも気持ちが抑えられなくなってた。蓮の病状が悪化したら、ある日突然倒れちゃったら、この世からいなくなると思ったら…私っ……私………。」



限られた時間の中。
言いたい事をギュッと凝縮して伝えたら、一気に悲しみが押し寄せてきた。

もしかしたら、言葉の凝縮までもが気持ちを凝縮させていたのかもしれない…。