単に教室から連れ出すだけではなく、日常的に嫌がらせを繰り返す花音に対しても、同時に仕返しが出来るという作戦に…。


蓮は焦って現在の時刻を確認。
蓮が腕時計を見ている姿を見た瞬間、私は悟った。


きっと、私の『時間がない』と言う意味を、昼休み終了までの事を言い表したと解釈したのだろう。
残念ながら、そーゆー意味ではない。



「ほら、早く行くぞ。昼休みが終わるまであと7分しかない。」

「蓮…時間がないよ。早く…。」



これから始まりを迎えようとしている話し合いのテーマのヒントを、二度に渡ってチラつかせつつも、教室から連れ出す事に成功。



目には目を、歯に歯を。



先生と交際するまではほとんど嘘をつかなかった。
でも、蓮のせいで私はすっかり嘘つきに。

だから、私を嘘つきにさせた代償を払ってもらわなければならない。



だが、梓の思惑など知る筈もない蓮は、梓の身体を片腕で支えながら本気で心配している。
真剣な目つきで『大丈夫?』と声をかけ続けている姿を見るなり、胸がチクリと痛んだ。