『何となく…いや、俺の勘なんだけど。柊くんってさ、梓に気があるんじゃないの?』



一瞬、ドキッとした。
ズバリまさかの正解なのだが…。



「へっ?…何で?」



先生の気持ちを汲んでわざとすっとぼけた。
確かに蓮の昼間の言いっぷりから推測できる。



『柊くん…普段はあんなにいい子なのに、今日は梓が一人で職員室に行くのを嫌そうにしていたから。』

「プッ…。柊くんがいい子だなんて。」


『去年担任だったから彼の事はよく知ってるよ。勉強面ではトップクラスだし、素直だし、愛想がいいし、他の先生にも好かれているし。』

「えっ…、あの蓮がトップクラス?」


『ひょっとして、柊くんの事を蓮って呼んでるの?』

「あっ、みんながそう呼んでいるから…つい。」



しまった。
先生と電話中なのに、つい口を滑らせてしまった。
慣れというものは非常に危険。




でも…。
バカでエロで意地悪な蓮が、クラスでトップの成績?
信じられない。


レベルの低い会話に野性剥き出しの本能。
それに、夜遊びばかりしているからてっきりバカだと思っていた。

先生達がテストの答案を返す時に褒めるどころか『前回よりちょっとだけ点数が落ちたな。』しか言わないから、勉強が出来るかどうかわかんないや。


蓮ってさ、勉強するんだね。
へぇ、意外。